
【奈良】夏越の祓を体験できる神社10選!茅の輪くぐりで無病息災を願おう
奈良県は日本で最も歴史が深い地域の一つで、数多くの神社仏閣が存在します。特に夏越の祓(なごしのはらえ)は、一年の折り返し点である6月末に行われる神事で、茅の輪くぐりをすることで半年間の罪や穢れを祓い、残り半年の無病息災を祈願する伝統的な行事です。今回は、奈良県内で夏越の祓を体験できるおすすめ神社10選を詳しくご紹介します。
夏越の祓とは?
夏越の祓は、6月30日に行われる神事で、大祓(おおはらえ)の一つです。この行事は、飛鳥時代から続く古い伝統で、『延喜式』にも記載があるほど由緒正しいものです。神社の境内に設けられた大きな茅の輪をくぐることで、半年間の罪や穢れを清め、疫病や災いから身を守る力を得るとされています。
茅の輪くぐりの作法は、「水無月の夏越の祓する人は千歳の命延ぶというなり」という唱え言葉を念じながら、左回り・右回り・左回りと8の字を描くように3回くぐるのが一般的です。この伝統行事を通じて、心身ともに清らかな状態で夏を迎え、残り半年を健やかに過ごせるよう祈願します。
奈良で夏越の祓を体験できる神社10選
1. 春日大社(奈良市)
住所:奈良県奈良市春日野町160
アクセス:近鉄奈良駅から徒歩約25分、または奈良交通バス「春日大社本殿」下車すぐ
茅の輪くぐり時期:6月30日 10:00~15:00
特徴:世界遺産に登録されている春日大社では、荘厳な雰囲気の中で夏越の祓が行われます。境内には約3,000基の石灯籠があり、夜間は特別ライトアップされることも。茅の輪は朱色の柱に囲まれた特別な場所に設置され、神職による祓詞奏上も行われます。夏越の祓の後は、境内にある「萬葉植物園」で四季折々の植物を楽しむのもおすすめです。
2. 大神神社(おおみわじんじゃ、桜井市)
住所:奈良県桜井市三輪1422
アクセス:JR桜井線「三輪駅」から徒歩約15分
茅の輪くぐり時期:6月30日 9:00~16:00
特徴:日本最古の神社の一つとされ、本殿を持たず三輪山そのものを御神体とする原始的な形態を保っています。夏越の祓では直径約2mの大きな茅の輪が設置され、三輪山の清らかなエネルギーを感じながらくぐることができます。近くにある「三輪素麺」の老舗で、行事後に涼やかな素麺を味わうのも風情があります。
3. 石上神宮(いそのかみじんぐう、天理市)
住所:奈良県天理市布留町384
アクセス:JR桜井線「天理駅」から奈良交通バスで約10分「石上神宮前」下車すぐ
茅の輪くぐり時期:6月30日 10:00~15:00
特徴:日本最古の神社の一つで、武器や武具の神として崇敬されてきました。境内には国宝の「七支刀」が所蔵されています。夏越の祓では、茅の輪くぐりの他に、特殊な形をした「人形(ひとがた)」に息を吹きかけ、身代わりとして厄を託す行事も行われます。神宮周辺は自然が豊かで、清々しい空気の中で心身を清めることができます。
4. 談山神社(たんざんじんじゃ、桜井市)
住所:奈良県桜井市多武峰319
アクセス:近鉄「桜井駅」から奈良交通バスで約20分「談山神社」下車すぐ
茅の輪くぐり時期:6月30日 9:00~17:00
特徴:藤原鎌足を祀る神社で、鮮やかな朱色の十三重塔が有名です。山の中腹に位置するため、夏でも涼しく、清々しい空気の中で夏越の祓を体験できます。茅の輪は神社のシンボルである十三重塔を背景に設置され、写真撮影にも最適です。6月は新緑の季節で、境内のモミジも美しく、神事の後に散策を楽しむことができます。
5. 丹生川上神社(にうかわかみじんじゃ、下市町)
住所:奈良県吉野郡下市町長谷1-1
アクセス:近鉄「下市口駅」からタクシーで約15分
茅の輪くぐり時期:6月30日 9:00~16:00
特徴:水の神として古くから崇敬されてきた神社で、平安時代には雨乞いの神事が行われていました。清流の音を聞きながら行う夏越の祓は、心が洗われるような体験です。茅の輪は川のせせらぎを背に設置され、水の神様の力を感じながらくぐることができます。近くには「吉野川」が流れ、夏には鮎釣りも楽しめる自然豊かな場所です。
6. 率川神社(いさがわじんじゃ、奈良市)
住所:奈良県奈良市本子守町18
アクセス:近鉄奈良駅から徒歩約10分
茅の輪くぐり時期:6月30日 10:00~16:00
特徴:奈良町の中心部に位置する小さな神社ですが、三輪山の神を祀る由緒正しい神社です。6月には「三枝祭(ゆり祭)」が行われ、夏越の祓と合わせて訪れると、より一層のご利益が期待できます。茅の輪はこぢんまりとしていますが、都会の喧騒から離れて心静かに祈りを捧げることができます。周辺には奈良町の古い町並みが残り、散策も楽しめます。
7. 金峯山寺(きんぷせんじ、吉野町)
住所:奈良県吉野郡吉野町吉野山2498
アクセス:近鉄「吉野駅」からロープウェイで「吉野山駅」、徒歩約20分
茅の輪くぐり時期:6月30日 8:30~17:00
特徴:修験道の聖地として知られる吉野山の中心的な寺院で、神社ではありませんが神仏習合の名残で夏越の祓を行っています。標高高い場所にあるため、夏でも涼しく、清々しい空気の中で行う茅の輪くぐりは格別です。6月は新緑の季節で、山全体が緑に包まれ、特に美しい景色が見られます。行事の後は、吉野名物の「葛料理」を味わうのもおすすめです。
8. 廣瀬大社(ひろせたいしゃ、河合町)
住所:奈良県北葛城郡河合町広瀬3-1
アクセス:近鉄「大和八木駅」から奈良交通バスで約20分「広瀬神社前」下車すぐ
茅の輪くぐり時期:6月30日 9:00~16:00
特徴:水の神・若宇加能売命(わかうかのめのみこと)を祀る神社で、古くから水害防止や治水の祈願が行われてきました。広大な杜の中にあり、夏越の祓を行うにはぴったりの清々しい環境です。茅の輪は2つ並んで設置されており、くぐる順番にも特別な意味があると言われています。近くを流れる大和川のせせらぎを聞きながら、心穏やかに行事に参加できます。
9. 龍田大社(たつたたいしゃ、斑鳩町)
住所:奈良県生駒郡斑鳩町龍田1-29-1
アクセス:JR「王寺駅」から徒歩約15分
茅の輪くぐり時期:6月30日 9:00~17:00
特徴:風の神を祀る神社で、古くから風害防止の祈願が行われてきました。境内には樹齢千年を超える大楠があり、その壮大なエネルギーを感じながら茅の輪をくぐることができます。夏越の祓の時期には、風にゆれる茅の輪が特に印象的です。近くには「藤ノ木古墳」や「法隆寺」などの史跡もあり、歴史散策と組み合わせて訪れるのがおすすめです。
10. 天照大神高座神社(あまてらすおおみかみたかくらじんじゃ、明日香村)
住所:奈良県高市郡明日香村大字真弓67
アクセス:近鉄「橿原神宮前駅」から奈良交通バスで約20分「岡橋本」下車、徒歩約15分
茅の輪くぐり時期:6月30日 10:00~15:00
特徴:飛鳥時代の面影を残す明日香村にある神社で、古代の祭祀形態を今に伝えています。周囲には古墳や史跡が点在し、歴史好きにはたまらない環境です。茅の輪は自然石に囲まれた特別な場所に設置され、古代の人々も同じように夏越の祓を行っていたのだろうと想像を掻き立てられます。行事の後は、明日香村のレンタサイクルで周辺の史跡を巡るのも楽しいです。
茅の輪くぐりの正しい作法とマナー
夏越の祓で茅の輪をくぐる際には、以下のような作法があります。神社によって若干異なる場合もあるので、事前に確認するか、周囲の参拝者の様子を見て行動すると良いでしょう。
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唱え言葉:「水無月の夏越の祓する人は千歳の命延ぶというなり」と心の中で唱えながらくぐります。神社によっては違う言葉が指定されている場合もあります。
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くぐり方:
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最初は茅の輪の前で一礼し、左足から入って左回り(時計回り)にくぐります
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次に正面に戻り、右足から入って右回り(反時計回り)にくぐります
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最後にもう一度正面に戻り、左足から入って左回りにくぐります
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合計3回くぐり、8の字を描くような動きになります
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服装:特に決まりはありませんが、清潔な服装で参拝します。夏場は暑いですが、神社内では露出の多い服装は避けた方が良いでしょう。
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写真撮影:基本的には可能ですが、他の参拝者の邪魔にならないように注意し、神事の最中は控えましょう。一部の神社では撮影禁止の場合もあるので確認が必要です。
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供物:夏越の祓専用の「人形(ひとがた)」や「形代(かたしろ)」が授与されている神社もあります。これらに息を吹きかけたり、身体を撫でて穢れを移し、神社に納めることでより効果的とされています。
夏越の祓と一緒に楽しみたい奈良の初夏の風物詩
奈良で夏越の祓を体験する際には、合わせて楽しみたい季節の行事や名物がいくつかあります。
・三枝祭(ゆり祭、6月17日頃/率川神社)
三輪山の神を祀る率川神社で行われる祭りで、百合の花で飾られた御輿が町を巡行します。夏越の祓の前に行われるため、合わせて参拝するのもおすすめです。
・奈良の鹿の角切り(10月ですが、夏越の祓と関連して)
春日大社の神使である奈良の鹿は、毎年角切りが行われますが、夏越の祓はその前の重要な節目と考えられています。
・奈良の夏の味覚
夏越の祓の時期は、奈良名物の「そうめん」や「葛料理」がおいしい季節です。特に三輪そうめんはこの時期に食べると清涼感があり、行事後にいただくのがおすすめです。
・ホタル観賞
6月下旬は奈良の山間部でホタルが見られる季節です。丹生川上神社や吉野山周辺では、神事の後にホタル観賞を楽しむこともできます。
まとめ
奈良県は日本の歴史と伝統が色濃く残る地域で、夏越の祓も古式ゆかしい形で行われている神社が数多くあります。今回紹介した10の神社・寺院はいずれも由緒正しく、それぞれ独自の特徴を持っています。茅の輪をくぐることで、半年間の穢れを祓い、清々しい気持ちで夏を迎えることができます。
特に世界遺産の春日大社や日本最古の大神神社などは、歴史の重みを感じながら行事に参加できる貴重な体験となるでしょう。また、吉野山の金峯山寺や明日香村の天照大神高座神社などは、自然と歴史が調和した環境で心を清めることができます。
2023年の夏越の祓は、ぜひ奈良の神社で体験してみてください。古都奈良の清らかな空気の中で行う茅の輪くぐりは、日常の疲れを洗い流し、新たな気持ちで下半期をスタートさせるのにぴったりです。無病息災を願いながら、日本の伝統文化に触れる素晴らしい機会となることでしょう。